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長崎とアジサイ(上)~シーボルト邸跡~

2020年06月19日

 梅雨の時期の代表的な花、アジサイ。出島のオランダ商館医シーボルトがハイドランゼア・オタクサという名前をつけて世界に知らせた花です。名前の由来は、ご存知の通り、シーボルトが愛した長崎の女性「お滝さん」と言われています。

 アジサイの花を求めて、長崎市鳴滝町にある「シーボルト記念館」を目指しました。最寄のバス停は「中川町」です。

 バス停から「シーボルト記念館」までは徒歩約10分です。住宅街の中を歩いていきますが、分かれ道などには標識が立てられていて、迷うことはありません。

 「シーボルト記念館」は、日本の近代化に貢献したシーボルトを顕彰するために長崎市が設置したもので、1989年に開館しました。赤レンガ洋館づくりの3階建てで、オランダ・ライデン市にあるシーボルト旧宅をイメージしたものだそうです。

 記念館の玄関横に設置されている「若き日のシーボルト」像です。長崎出身の彫刻家で、名誉県民の富永直樹氏の作品です。いつも目にするシーボルト像とは異なり、若々しい立像です。新鮮ですね。

 さて、記念館から小道を下ると、国指定史跡「シーボルト宅跡」があります。ここには、お馴染みの胸像が設置され、今の季節は様々な種類のアジサイが彩りを添えています。

 「シーボルト宅跡」(鳴滝塾跡)では、シーボルトが全国から集まった秀才たちにオランダ語や医学,植物学を教えていました。この中から、幕末に活躍した蘭学者が多数出ています。

 残念ながら、当時の建物は何も残っていませんが、宅跡や周辺にはシーボルトが出島の植物園で「オタクサ」と名付け栽培していたアジサイの花が咲き誇っています。

 アジサイはいまや何百という品種があり、園芸植物としても人気です。

 シーボルトの胸像とアジサイたち。閑静な「シーボルト宅跡」は、約200年前の歴史の一コマを想像させるのに十分な場所です。