特集タイトル

TOP > 特集 > 【バス停ぶらりナビ32】★被爆の証人を辿る~坂本町バス停(前編)★

【バス停ぶらりナビ32】★被爆の証人を辿る~坂本町バス停(前編)★

2020年05月25日

 長崎市坂本町の山王神社の被爆クスノキです。初夏の日差しを浴びて樹勢を増しているように見えます。境内入口にある2本の大きなクスノキは樹齢500年とも600年とも言われています。

 山王神社は「坂本町バス停」から徒歩10分です。

 2本のクスノキは75年前の8月9日、原子爆弾の爆風と熱線によって、幹の上部はなくなり、枝葉も吹き飛び、熱線で焼け焦げて枯れ木同然となりました。ところが、数ヵ月後には焼け残った幹から新芽が芽吹き始めたということです。

 その後、3度にわたり樹木医の治療を受けて、樹勢を回復。今では、青々と葉を茂らせています。両方のクスノキの枝をあわせるとその長さは東西40m、南北25mほどに成長しました。

 原爆被災の貴重な遺構として、長崎市の天然記念物に指定されている被爆クスノキ。2014年には福山雅治さんが、このクスノキをモチーフにした歌を発表し、全国的に知られるようになりました。 

 ところで、クスノキの下には立派なフジ棚があります。縦4.5m、横6mで、2本のフジの木が枝をはわせています。

 甘い香りに誘われてフジ棚の中に入ってみると・・・。

 長さ30センチほどもある無数の花房が風に揺れており、圧巻の美しさでした。

 さて、境内の奥には拝殿があります。正殿や拝殿は原爆で跡形もなく崩壊しましたが、戦後順次、再建されました。この日は新型コロナウイルスの影響で、人影もなくひっそりとしていました。

 原爆の惨禍を生き延び、歴史の証人でもある被爆クスノキ。その強い生命力はますます輝きを増してきているようです。

 

 

坂本町バス停 後編へ続きます。